T太郎

パリの調香師 しあわせの香りを探してのT太郎のレビュー・感想・評価

4.0
828
フランス映画だ。
非常に気持ちのいい、心暖まる映画である。
私の大好きなタイプの作品だ。

主人公はギヨームというハイヤーの運転手だ。
違反を繰り返して免停寸前である。

彼は離婚しており、娘の目の前でケチな犯罪まがいの事までやってのけるのだ。
いい加減な男という第一印象だ。

そんなギヨームがある女性の運転手をする事になる。
この女性がもう一人の主人公、嗅覚のスペシャリスト、天才調香師のアンヌである。

二人の出会いは最悪だ。
とにかくアンヌが偉そうなのだ。
おまけに感情をほとんど表さない。
彼女の態度はギヨームをイライラさせるばかりだ。

ギヨームは捨て台詞を残し、ご立腹のまま初日を終える。

しかし、翌日もアンヌの運転手をする事に。
なんと彼女のご指名だという。
一体なぜ?

しかし、やはり彼女は偉そうだ。
何も説明してくれない。
うんざりするギヨーム。

実はアンヌは人付き合いが苦手なだけなのだ。
匂いの事しか考えていないのである。

アンヌにとってギヨームは他の人間と何かが違ったのだろう。
他の人間は寄せ付けないのにギヨームにだけは積極的に接していくのだ。

徐々に二人の距離が縮まっていく。
アンヌはギヨームに娘との接し方をアドバイスしたり、ギヨームは調香に興味を持ったり。

いい加減に見えていたギヨームの印象もどんどん変わっていく。
頼もしく見えてくるのだ。

そして、偉そうだったアンヌは「お願い」「ありがとう」が素直に言えるようになる。

これは半人前だった男女の成長の物語だと言えるだろう。
最後も非常に気持ちのいい終わり方である。
是非とも観ていただきたい作品だ。

ただし、これは恋愛映画ではない。
二人の間にその手の会話は一切ないのだ。
私はどちらかと言うと友情の物語だと思えた。

安易に恋愛にもっていかない所に好感が持てる作品だ。
(私は恋愛映画も大好きだ)
T太郎

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