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アンダードッグ 後編のSのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)
1.0
 仮にこのショットで終わらせるなら二度と映画を監督してほしくないと思っていたところでエンドロールになった。冒頭、妻との会話のシーンで、前編では想像もつかないほど情けない姿を晒す森山未来でいよいよ雲行きが怪しくなったと思えば、人情を揺さぶる言葉を的確に発するお利口な子供という都合の良い紋切り型についで、過激な虐待シーンからの逮捕劇はただただ悲劇っぽさを演出したいという幼稚な意図が透けていて苦笑いするほかない。
 最後の試合で感動したと言っている人は正気なのだろうか、あの格ゲーみたいな効果音のパンチと小賢しい高速度撮影で心揺さぶられたとでも?

 プロットも相当にお粗末なのだが、このようになによりも演出がダサすぎる。スローモーションでアクションを誤魔化したり、訳の分からない回想で尺を引き延ばしたり。極めつけは最後の試合の入場シーンで画面を二分しているところで、それ自体の演出意図も不明だけどどうせやるならせめて画面同士の時間軸は同期させてほしい。一方の画面では森山未来はすでにリング内で座っているが、もう一方の画面ではちょうどリングに入ろうとするところを映している。その程度の配慮もできないのだとしたら観客を舐めているとしか思えない。
 他にも劇伴とか台詞回しとか、挙げればキリがないほどダサい演出ばかりで目も当てられず、俳優陣の演技が良いだけに本当に残念だった。
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