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無聲 The Silent Forestのkuuのレビュー・感想・評価

無聲 The Silent Forest(2020年製作の映画)
3.7
『無聲(むせい)The Silent Forest.』
原題 無聲 The Silent Forest.
映倫区分 PG12。
製作年 2020年。上映時間 104分。

台湾のろう唖学校で実際に起こった性暴力事件を真正面から描き、アジア各国の映画祭で話題となった社会派ドラマ。
監督は、Netflixでも配信されたドラマ『暗闇は目を閉じて』などを手がけ、長編映画はこれが初となる新鋭女性監督コー・チェンニエン。
ベイベイ役のチェン・イェンフェイ。

聴覚障害をもつ少年チャンはろう唖学校に転校し、学校の設立100周年のパーティで見かけた少女ベイベイに心ひかれる。
後日、スクールバスに乗っていたチャンは、バスの一番奥の席でベイベイが複数の男子生徒から性暴力を受けているところを目撃してしまう。
ショックを受けるチャンに、主犯格の少年シャオは、その性暴力がゲームであると語るが。。。

今作品は、単純に書いても幸せな映画ではないし、そうであるべきでもない作品でした。
いじめ、組織ぐるみの隠蔽工作、性的虐待、自死といった題材を巡る物語であるため、雰囲気は常に暗い方に傾きがちは否めない。
こないな問題を扱うのは決して簡単なことではなく、実際の出来事を基にした物語やと、特に繊細なタッチが必要とされるんちゃうかな。
この点で、コー・チェンニエンは見事に成功していると云っても過言じゃない。
監督は、このストーリーを視聴者に強く印象づけるが、決してセンセーショナルにはしてなかった。暗いディテールに惑わされることなく、事件の重大さを理解させるに十分な情報を与えています。チャン・チェンとベイ・ベイがお話の原動力であることに変わりはないけど、コー監督は時間をかけて、この悪循環の背後にある理由についても考察して、これらの行為を行う者とその犠牲者に共感できる光を当ててました。
ここで、マジに責められるべきは、若者たちを完全に失望させた当局と組織である。 
若くて経験の浅いキャストの演技は、控えめに云っても印象的でした。
また、控えめに云っても印象的で、本物らしさが光ってたし、物語をより一層ハラハラさせてくれた。
リウ・クァンティンが演じた、これらの問題に取り組むことに関心を持つ唯一の大人の姿も、同様に感情的で感動的でした。
虐待の深淵に分け入っていく彼の恐怖とフラストレーションは、手に取るように感じられたし、この力強い演技を支えてんのは、被害者が感じる恐怖感をさらに深める素晴らしいサウンドデザインやった。
聴覚障害者に焦点を当てた作品やさかいに、普通の音の世界から、感覚の異なる人たちの混濁した沈黙へと変化するサウンドスケープがそれを反映してたし、今作品は、ストーリーに合っているだけでなく、視聴者が登場人物に近づくための手助けをしてくれる。
希望のある終わりかたかと思わせておいての、問題は、、、
かなり辛い気持ちになる映画とは云えるが、目を背けてはいけないことも事実やし考えさせられる作品でした。
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