マチャアキ

川っぺりムコリッタのマチャアキのレビュー・感想・評価

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)
3.8
🙋‍♂️ボク、お金持ってませぇ〜ん!
(ごはん)🙏いただきまーーーす!
という無茶苦茶な道理でご飯も人生も突き進むお話。。かな٩( 'ω' )و

仮面ライダー2号繋がりレビュー。

理由はさて置き、再出発のため仕事のある富山県にやって来た主人公山田。再出発といっても今後の人生を楽しんではいけない、何のために誰のためになのかは分からないが極力人と距離を置こうとする。そんな彼の新しい住まいは、自身が働く会社の社長から紹介されたハイツムコリッタ。🏠
大家さんは何か秘めた未亡人。隣に住む島田は家庭菜園が日課の貧乏人。山田の部屋へ毎日のように上がり込み、勝手に風呂に入られご飯も食べるという図々しさだ。向かいの溝口は墓石のセールスマンだが、どういう訳か息子と一緒に訪問販売。子供連れがどう世間に見えるのだろう。
塩辛工場の会社に行けば、人が良過ぎる社長や先輩社員の中島からご丁寧な扱いを受ける。
人から離れたい山田だったが、前述のオモシロオカシイ人たちとの関わりの中で、彼の中で何かが変わってゆく。

幼い頃に親から捨てられた山田だったが或る日、父親の孤独死の通知がポストにー。何十年も音沙汰もない状態で、今更自分に何をしろというのか。全く関わりたくなかったが、それでも親なんだからと言わんばかりの態度の島田に説得される。嫌々遺骨を引き取りに市の役場へ向かう山田を迎えたのは馬鹿丁寧な態度の福祉課の堤下だった。小さく収まった骨壷の父親を怪訝そうに見る山田だったが、父親の火葬に立ち会い骨を拾う一連の葬儀を堤下は執り行った。堤下は全く関係のない人の骨「喉仏」が稀に見る美しさということで、山田と改めて見るという何とも滑稽な時間が流れる。後日、父親がどういう人間だったのかの手掛かりを求めて、山田はもう一度堤下に会いに行く。あの時の堤下の対応が山田を駆り立てたのだろう。この堤下と山田との時間がこの世とあの世の境い目を演出しているのではないかと感じる。父親が残した携帯電話の最後の発信記録は「命の電話」。ここへ電話を掛けると(゚д゚lll)

荻上直子監督らしい色が随所に見られる。山田が暮らすこの町の佇まいは「天国の本屋」の天国の雰囲気に似ている。それがどういうことかー。川っぺり。そしてムコリッタ。この世、あの世、その狭間を現していると。この作品では、天国とか地獄とかの表現は似合わない気がします。


さて、仮面ライダー2号繋がりでしたが、福祉課の堤下が柄本佑氏。秀逸でした。
会社の社長に緒方直人氏、社員さんで江口のりこ氏。実に超勿体無い使い方😆
松山ケンイチ氏(山田)を囲って、ムロツヨシ氏(島田)、満島ひかり氏(大家)、吉岡秀隆氏(墓石販売員)が付かず離れずのいい距離感(そうでないのもいるけれど)で温かさを分けてくれる。

山田が社長や中島さんに問うー
同じような毎日を過ごすことに意味があるのか。

同じようで同じではない毎日のちょっとした変化を見付けて楽しめれば、それでいいんじゃないかと。ここに映されているものは、ほんの一部でささやか過ぎるのかも知れない。でも、それで良いじゃん、皆んないるよ。最後のシーンではそう聞こえ、空の美しさも微笑ましい。今日とはほんの少しだけ変われる気がします。
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