Sachika

林檎とポラロイドのSachikaのレビュー・感想・評価

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
3.9
無くした記憶と、記憶回復プロジェクト。
記憶は自分で消そうとしても消せなくて、”記憶喪失になる奇病が蔓延する世界”というのは、つらいけど、少し便利だとも思った。
無くしたかった記憶、無くせなかった記憶。
だけど林檎の味”だけ”は覚えている…

回復プロジェクトはどこかシュール。
簡単なお題から少し危険なものまで、渡されたカセットテープとポラロイドカメラを頼りに、何かに縋るように、記憶の糸を手繰り寄せるように、そのお題をこなしていく患者たち。
”喪失”は悲しい。
だから失ったという事実を失いたい。

「もしや」というシーンをはさむけれど、「もしかしたら初めから」とも考えられる演出がよい。
物寂しいけど、ふと思い出した時に良さを感じる、「記憶」に残る映画だった。
Sachika

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