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あの夏のルカのJIZEのレビュー・感想・評価

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
4.0
イタリアの夏の太陽が照りつける風光明媚な海辺の港町ポルト・ロッソを舞台に水にぬれると姿形を変える種族"シー・モンスター"の少年が人間と関わってはならないオキテを破ったコトからその大冒険と成長が綴られるディズニー長編アニメ映画!!ピクサー定番の人間とそうじゃない世界の壁のパートを二分させて、ノスタルジアなひと夏の郷愁感をマジカルに解き放つ。ピクサー史上初の"夏"が題材。まずDisney+での追加料金ナシでの視聴は『ソウルフル・ワールド(2020年)』以来だが、またもや独自の角度からアニメーションの技法やビジュアル、メッセージ性を書き下ろすBoys meet A Girlな素晴らしさを体感した。また本舞台ポルトロッソの世界観全体に意識したと思わせる"ラテン"の調味料がシーン毎に豊富で、町並みの人々が賑わう活気ある情感や、太陽が沈むと起ち上がる美しく象られた街角の一角など、その情熱的な哀感をどこかしこに織り込ませる。このへんの美的感はピクサーの『リメンバー・ミー(2018年)』で培われたモノが、ビジュアル的に活きた感じがある。本編で登場するイタリアのオートバイのヴェスパのストーリー上の伏線の回収のさせかたや、ジュリアの父親に振る舞われるパスタのトレネッテの本当に美味そうにみえるシズル感などは、とくに印象的だった。ルカの両親がルカを探し出すため町の少年少女等に一人ずつ水を掛けるくだりは、ほぼ逮捕案件でわらえた。ゆいいつの苦言は、ルカのゴリ推しでアルベルト側の視点の悲しさがイロイロとつのる。全体的に種族の素性が人間にバレてはならない既定のエンタメや、町全体に蔓延る不良ヴィランとの敵対させる図、人間と魚種族の共存問題まで、ただ単に陸に上がれば人間となるユニークさを売る物語ではないつくりは魅了される作品だろう。
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