風来坊

ディヴィジョンの風来坊のレビュー・感想・評価

ディヴィジョン(2020年製作の映画)
3.0
今は改善していると思いたいが、1997のリオデジャネイロでは毎月11件の誘拐事件が発生していたというテロップにまず驚く。
日本の感覚だとそこまでの数は想像出来ない。ブラジルは治安がすこぶる悪いとは聞いていたもののここまでとは…。

誘拐と聞くと子供や女性がターゲットという先入観がありますが、大人の男性でもお構い無しですからね…。
犯罪者が凶悪なら警察も大概で、凄まじく強引な捜査方法。
ブラジルだから許される事で、日本でこんな事したら大問題でしょう(^o^;)

本作の主人公は正義感の強過ぎる熱血捜査官と、自身も誘拐ビジネスや汚いやり口の汚職捜査官とその仲間たち。
脚色はしていると思いますが、このお話は実話ベースというのに更なる驚きでした!

面白いと言ってはいけないのかも知れませんが、警察内部での軋轢と警察自体が腐っている為に事件がよりややこしい状況が面白い。
水と油のような絶対に合わない捜査官たちと、それぞれの思惑が物語を盛り上げています。

しかし…人物の関係性や信頼の構築などを詳しく描いていないために登場人物に魅力を感じません。どいつもこいつも腐り過ぎています。
構成も雑で強引なので話が分かりづらい。わざと分かり難くしているのかも知れない。テンポも悪く無駄に長い印象…。
一体、あの女はどうなったの?

銃撃戦リアルで臨場感がありハードでシリアスな雰囲気で緊迫感は抜群ですが、ジャケット写真から想像するようなカッコいい物語ではなく、善も悪もクズばかりの終始に胸糞悪くモヤモヤするお話なので人を選ぶ作品と思います。
私はあまりにもブラジルの警察や司法が腐り過ぎていて引いてしまいました…。

まとめの一言
「権力と腐敗、犠牲になるのは市民」
風来坊

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