トムトム

映画大好きポンポさんのトムトムのレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
4.0
面白かったですし劇場がいっぱいで嬉しくなりました。
こういう作品に人が入っているのはいいですね。

オチのかっこよさが秀逸です。
上映時間含めてそのために存在していると言ってもいいです。

原作は読了していますが映像化を聞いた時は難しいだろうなと感じていました。
なぜなら原作はあくまで「映画制作漫画」ですが映像化した今作は「映画制作映画」になってしまうからです。

劇中で語られる面白い映画の条件や面白くない映画の条件が自作にブーメランとして帰ってきてしまいますし。

それに加えジーンくんが評価される「MARINE」の予告編やアカデミー賞ならぬニャカデミー賞を独占する「Meister」に説得力を持たせる映像化しなくてはいけないですから。

そこはそこまでうまくいっているとは言えない気もします。

映画というのは何かを選ぶためには何かを捨てなければいけない、編集こそ全てだという強い主張に説得力を持たせるため場面転換がメチャメチャ凝っています。

映画制作映画ならば普通はもっと撮影現場でのアクシデントやスタッフ、役者とのアクシデントみたいなのを入れると思いますがそこは控えめです。

あくまで映画編集映画と言うところにこだわりを感じます。

それでも原作に比べるとかなり人間ドラマや撮影現場のネタを追加しています。

銀行員のアランくんは完全オリジナルキャラですし、撮影中の羊のエピソードや追加撮影や編集でぶっ倒れるジーンくんのエピもオリジナルです。
漫画とアニメを比べると監督が何を選んで何を捨てたがわかって面白いかと思います。

捨てられたのはキャラクターが登場したときにそのキャラの好きな映画が3本表記される演出とその解説ですかね。
ちなみにポンポさんが好きな映画は「セッション」「デス・プルーフ」「フランケンウィニー」でした。

今作の1番のファンタジーはローティーンで敏腕映画プロデューサーというポンポさんの存在です。

これはクリエイターや観客がこうあってほしいと願う理想のプロデューサーで存在はしない映画制作の女神みたいなものでしょう。

現実だったら銀行は融資する代わりに映画制作に一枚噛んできますし、ジーンくんはファイナルカット権を取り上げられて監督を降ろされているでしょう。
マーティン・ブラドックならぬマーロン・ブランドはデブデブな肉体で撮影現場に現れヤル気はないかもしれませんしめちゃくちゃ評価された「Maister」もアカデミー賞ではミラマックス制作の映画に作品賞を掻っ攫われるでしょう。

そう言う意味でニャリウッドは僕ら観客がこうあってほしいと夢想する理想のハリウッドですね。

映画好きには絶対にオススメできる良作です。

一つ残念なのはナタリー役の大谷凛花のアフレコですかね。
もしかしてこれはアイドルの残念吹き替えのパロディなんですかね。
そこは現実的にならなくていいのに。