えいがうるふ

映画大好きポンポさんのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

またしても世間の高評価に裏切られた感が否めない。
原作読んでないせいか、どう見ても小学生ぐらいの子どもにしか見えないポンポさんが既に成功してリスペクトされている敏腕プロデューサーであるという設定に最後まで説得力を感じられなかった。それでなくとも明らかに異なる画風(特に人物のキャラデザ)が色々混じっていて目が落ち着かない。
何より残念だったのは、卑屈で目に光の無い主人公に最後までそこまでの魅力を感じられなかったこと。

そもそも大騒ぎして作ろうとしている新作がいつの時代?と首を傾げるような大昔の発想で企画された「感動大作」なもんで興味が沸かない。なんなら最初にポンポさんが作ってた安っぽいB級アドベンチャーの方がよほど面白そうだと思ってしまったのは私だけ?
挙げ句、クライマックス〜エンディングにかけて主人公の心の叫びモノローグにエモい歌詞のJpop劇伴を重ねてここぞとばかりに盛り上げるという邦画アニメあるあるなあざとい感動演出にどんどん気分が萎える。(気のせいかゴミ人間がどーたらという例の感動大作アニメでも同じパターンだったよーな・・・)

唯一、映画製作の過程において撮影以上に編集作業の重さ大変さに光を当てていた点はたいへん素晴らしいと思った。
ただ、そうした観客側からは分かりにくい映画作りの苦労と面白さとそこに懸ける人間たちの情熱を伝える、という視点は悪くないのに、なんとも安易な売れ線王道演出に依存した内容だったことに脱力。

それでも実際、この作品は映画好きが集まっているはずのFilmarksでも概ね高評価を得ているようす。
つまり、この観客に媚びているのか或いは感受性を舐めているのかと思えるほどの、ひたすら説明過多で分かり安い感動展開こそが今の日本で大衆受けして商業的に成功する(アニメ)映画のセオリーなのだとしたら、それこそ何かとても寂しい気持ちになる。
以上、一介の映画好きの正直な感想。