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トゥルーノースのkaitoのレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
3.0
『トゥルーノース』

2020年の東京国際映画祭で公開されていた本作『トゥルーノース』は、北朝鮮政治に対する反某疑惑で捕まってしまった父の連帯責任で北朝鮮強制収容所に送られた家族がなんとか生き延びようとするアニメーション映画である。都合が合わずTIFFで鑑賞することができなかったため、映画公開を長らく待ちわびた。

結論いい映画であったものの、残念ながら心に強く残り続けるような映画ではなかった。やはり気になったのはアニメーションだ。多くの人がこのテーマの映画を見れるようにするために、あえてポリゴンチックなアニメーションにしたらしい(?)確かにアニメーションのおかげで全くグロテスクさとか暴力表現が軽減されていたと思う。ただ本来心に刺さるようなものが来なかった印象がある。もちろん今回のような手法を用いることで効果的な側面があることは理解できるが、北朝鮮の強制収容所という現在もなお進行している現実を伝える時、個人的には伝わりきらなかったというのがあった。

しかし扱っているテーマ性は素晴らしいと思う。現在もなお解決されていない北朝鮮の実態。映像作品として尚且つ世界にむけて発信することはかなりリスクがあるはずだ。しかしそれを自信を持って発信している点はかなり興味深く、評価できる。作品選び・テーマ選びはすばらしいと思った。

個人的に残念と感じた点はまだある。

主な言語が英語であったことはかなり違和感があったと感じた。視野を世界に向けているから、商業的観点からという理由がおそらくあるのかもしれないから理解はできる。にしても違う国の公用語が使用されていることに対する違和感は、映画から少し気持ちが離れてしまった要因だった。メッセージ性としては英語にしたほうが伝わる範囲は広いと思うが、作品として本作を捉えるのであれば現地の言葉を使用する方がいいのではないか。加えて登場人物に興味が湧かなかったから映画にのめり込むこともできなかった気がする。強制収容所のおじさんは過度にアニメキャラっぽすぎる。

まとめると
テーマの選択・メッセージ性・伝えたいことはすごく良かったと思う。しかしそれが自分にはダイレクトに伝わりきらなかったところがある。それはアニメーションであったり、言語選びであったりなど考えられる原因はいくつか考えられる。特定の場面で頭に残っているところはあるが、映画を全体的に捉えた時心に残り続けるかと問われれば否である。
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