みんと

トゥルーノースのみんとのレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.4
『アウシュヴィッツ・レポート』ともオーバーラップする、北朝鮮強制収容所の過酷な実態を描いた衝撃的実話。

人間の醜さと美しさ、強さと弱さ、憎む事と赦す事、表裏一体の感情が丁寧に赤裸々に描かれていた。3Dアニメーションでも十分過ぎる程伝わるリアル感が観やすい。もしかしたら実写でも もろアニメでも敬遠してたかも知れない。

観終えてみれば、冒頭のミスリードが痺れるほど効いてる。視点を大きく覆されたラストに震えが止まらない。涙でいっぱいになる。
決して実話性を損なうこと無く構成や脚本の上手さ、更にはメッセージ力と 描き方が素晴らしいと思う。

ホロコーストの残虐性はもはや誰もが知るある意味 常識の部類に昇華されているけれど、北朝鮮の実態をここまで掘り下げた作品は少ない気がする。(知らないだけかな?)国自体にマイナスイメージがついてまわる事もあって、伸ばす手も つい躊躇してしまうし…

少なからず想像は出来る、けど触れちゃいけない部分であるかのような北朝鮮の暗部をここまで攻めて描けた事に監督の並々ならぬ意気込みを感じるし驚きでもあった。

ラスト、アニメと言う若干のフィルターが取り払われ鳥瞰図で映し出された施設の映像が、ぐっと現実味を帯びると共にゾクッとする恐ろしさを増した。

思い切って観て良かったし勉強になった。そして沢山の人の目に触れることを願わずにはいられない。
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