mh

トゥルーノースのmhのレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
-
北朝鮮で行われていることを世界に向けて発信するも意味も含んだ日本の3Dアニメ。
フレームストーリーは現代。脱北してから10年経った青年がTEDで発表する内容で、当時を振り返るという趣向。
主人公の両親は帰還事業(1959年-1967年)で北送された在日朝鮮人。日本のパチンコ屋の前で取った写真がある。映画でいえば「キューポラのある街」の友だち家族ですね。
政治犯強制収容所の様子がとにかく過酷。
ナチスドイツの絶滅収容所でいうカポ(ユダヤ人のリーダー)みたいなひともいる。
ペラグラ(ナイアシン欠乏症)というあまり耳にしない名前の病気にかかる。
公開処刑を見なければならないというとんでもない現実も語られるけど、これは「北朝鮮・素顔の人々(2014年の隠し撮りドキュメンタリー)」によれば、北朝鮮のあちこちでも行われいる市民にとっては日常的なことなので、どういう位置づけにしていいのかわよくわからないことになっている。
係員が収容者を襲い、妊娠してしまったら処刑するとか絶句する。
かつて朝鮮総連と朝日新聞が「地上の楽園」として宣伝していた実態がこんなんで、いま現在も同じ状況が続いている。まったくもってとんでもない話。
アマゾンレビューにあったことば「義を見てせざるは勇無きなり」についてはもうぐうの音も出ない。
ウクライナ、ウイグル問題、北朝鮮の実態、すべての理不尽な現実がいつか解決することを願っている。
終盤になってようやくエンタメらしい展開を見せてくれて、見ているわれわれもちょっと救われる。
同系統の韓国映画「クロッシング」では、脱北がテーマだった。あっちに登場したネズミの皮のプロットがマジきつかったことを思い出す。
そういや、困窮に加えて教育が低いために流布する、根も葉もない噂を信じてしまうという絶望的なコンボがなかったな。
それらは「みんなで歌う」という陽性のものに置換されていたということか。
面白かった。
mh

mh