Inagaquilala

マリアの旅のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

マリアの旅(2020年製作の映画)
3.7
東京国際映画祭で観賞。始まりはベルギーの病院が舞台で、病室で知り合った70歳を超えた老女のマリアと若い女性の交流の物語。後から入院してきた若い女性とマリアは互いが同じスペイン出身ということで、親しく話す間柄となる。若い女性は、実は深刻な病状で、退院していたマリアに彼女が死去したという連絡が来る。引き取り手がいないため、遺灰は捨てられると聞いたマリアが、それを自分が引き取ると申し出て、彼女の故郷であるスペインのアルメニアまで届けようとする。

実は、ここまでが導入部で、この作品のメインストーリーはこの後に続く、スペインへの旅なのだ。これまで特に波乱のない人生を送ってきた彼女が、初めての「冒険」の旅に出る。いわゆる主人公のロードームービーなのだが、スペインの地でこれまで出会わなかった種類の人間と知り合い、彼女の人生に変化が起きる。遅れてきた自己覚醒の物語なのだが、若干セクシャルな味わいも加味され、マリアの自己変革の旅が続く。やや驚いたラストシーンだが、もしかしたらそこがいちばんの描きたかったところかもしれない。
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