【額縁から外れた男】
ヴィム・ヴェンダース監督×ブルーノ・ガンツ×デニス・ホッパーのサスペンスロマン作品。
〈あらすじ〉
白血病で死の不安に生きているハンブルグの額縁職人ヨナタン。友人のトム・リプレーは彼を殺人にはめ込み、完全犯罪を進めながら危険な友情にはまりこんでいく…。
〈所感〉
ロードムービーのイメージのあるヴィム・ヴェンダース監督がパトリシア・ハイスミス原作のサスペンスを映画化。病に冒されて余命間もないヨナタンを利用する詐欺師トム・リプレーとの間に生まれる機会な友情を描く。
犯罪とは縁のない男が殺人計画に巻き込まれるストーリーラインだが、どうも庇いようのない自業自得。駅での殺人、列車での殺人は鮮烈な映像だが、それ以上にヨナタンが仕事部屋で歌を歌ったり、妻と子供と平穏に暮らしている何気ないシーンが良かった。ただそこにあるささやかな生活の有難みを思い知る作品だった。額の中で収まっているのがいいんだよ。でもそれが難しい。