「太陽がいっぱい」でアラン・ドロンが演じたトム・リプリーのその後を描いたハイスミスの小説をヴェンダースが脚色。贋作ブローカーになったリプリーが、白血病の額縁職人を殺し屋になるよう仕向ける。記憶に残る映像の力はあるけど、正直あんまり面白くないことの多いヴェンダース作品だが、こちらはキャッチーさを意識したサスペンスで、地下鉄や列車内が殺人現場となるためストーリーでも楽しめる。リプリーの混沌とした人格が、デニス・ホッパーの卓越した役作りにより、哀愁と愛着を感じさせるものになっている。
2018.11.24 NHK BSプレミアム(録画)(字幕)