ブルーノ・ガンツの訃報を知り夜中に見直した。
ヴィム・ヴェンダース監督作。
原作は「太陽がいっぱい」のパトリシア・ハイスミスなので、その後のトム・リプリーがヨーロッパで作らせた贋作をアメリカで売りさばくというお話。
そのトムをデニス・ホッパーが演じている。
病に侵されて余命の短い額縁職人にブルーノ・ガンツ。
素人の殺し屋として彼をスカウトするデニス・ホッパー。
2人とも若いがさすがに個性派、すでに風格があります。
絵画で金儲けをするアメリカ人を嫌悪しているが遺される妻と幼い息子への愛情としてお金を残したいガンツは、殺し屋の指示に従う。
少ない会話に暗めのストーリー。そして霞が掛かったようなヨーロッパの街並み、ぼんやりとした画面の中に時々現れる赤や黄色の鮮やかな色使いと美しい青が印象に残る。
ガンツの独り言が哲学的でもあり、口ずさむ歌の歌詞もオシャレだったりする。
後半ブルーノ・ガンツとデニス・ホッパーの関係が極めて近くなる辺りは見ているこちらもぐっと来る。
孤独な男同士の間に果たして友情はあったのだろうか?
朝もやの中をコントロールを失って走るオレンジ色のワーゲン、勢いよく外れたホイールカバー。
綺麗なエンディング。
ブルーノ・ガンツのご冥福を心からお祈りします。
追記
オープニングのオークション場面で、贋作だと直ぐに見抜かれるという絵画でも「アメリカなら高値で売れる」という台詞に笑う。
一言皮肉ってみたかったんだね。