ブタブタ

アメリカの友人のブタブタのレビュー・感想・評価

アメリカの友人(1977年製作の映画)
4.5
『太陽がいっぱい』はやはりアラン・ドロンありきの映画でパトリシア・ハイスミスの小説『リプリー・シリーズ』のトム・リプリーは本作のデニス・ホッパーや『リプリー』のマット・デイモンの方がトム・リプリーのイメージ。
原作『リプリーのゲーム』は太陽が~の原作『才能あるリプリー氏』から15年を経た続編で、そもそもハイスミス女史はシリーズ化するつもりは無かったもののハイスミスの小説は殆ど映画化権が売れてしまっていて、彼女の小説の映画化を切望したベンダース監督が「『太陽がいっぱい』の続きとか書いてくれない?v(。・ω・。)ィェィ♪」と言った事が切っ掛けらしく、そうなると『リプリー・シリーズ』が誕生したのはベンダース監督のお蔭とも言えるのかも(違うかも)

トム・リプリーと言う得体の知れない犯罪者、小悪党の様で頭が切れて強運の持ち主で必ずピンチを切り抜け自分だけは生き残る。
生まれつきの詐欺師で虚言癖があり犯罪の為の犯罪を探している様な男。
ハッキリ言って最悪何だけどどこか憎めず人を惹き付けるカリスマ性迄ある。
まさに「アンチヒーロー」
本作もトム・リプリーの長い長いロードムービーの一部の様。
『太陽がいっぱい』では青年時代のリプリーとフィリップのゲイセクシャル的な関係が描かれたけど『アメリカの友人』では中年に差し掛かったリプリーと妻子持ちのジョナサンのこれまた奇妙な友情とリプリーはジョナサンの妻に嫉妬している様な明らかにゲイセクシャルの匂いをさせている。
電車の中の暗殺やギャング達との殺し合いもアクションとしての派手さはなく淡々としたドライな空気と何処かユーモラスなブラックなコメディタッチ。
モノトーン調の暗い画面に突然差し込まれる鮮やかな赤や青はレオス・カラックスが『汚れた血』でもやってたしギャングのボスは「アメリカ女」でやっぱりこの辺オマージュなのか。
何故か救急車でやって来るギャング、コレも『ジョジョリオン』の元ネタ?
『リプリー・シリーズ』は二作しか映画化されてないので他の作品も映画化して欲しいです。
と思ってたりしたらドラマシリーズ『トム・リプリー』が制作だとか。
全5作を全てドラマ化、トム・リプリーの犯罪クロニクルで一代記。
単なるサスペンスではなくリプリーと言う複雑かつ魅力的なキャラクターを描く、それこそ『アレックス三部作』の時のレオス・カラックスやニコラス・ローグみたいに映像にも凝りまくった作品にして欲しいです。
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