KANA

アメリカの友人のKANAのレビュー・感想・評価

アメリカの友人(1977年製作の映画)
3.7

『太陽がいっぱい』と同じくパトリシア・ハイスミス原作で、その続編小説をインディーズの名匠ヴィム・ヴェンダースが映画化したものと知り、興味津々で鑑賞。

こちらはアラン・ドロンとは全く違うデニス・ホッパー演じるトム・リプリー。
ハンブルグでカウボーイハットはないんじゃない!?笑
でも、むさ苦しさこの上なかった『イージー・ライダー』やデヴィッド・リンチ色に染められトンデモ変態だった『ブルーベルベット』と違い、髭も剃っててスーツに身を包み、小綺麗でカッコよく見えた。
そして本作の実質的主役は2度も殺人を頼まれるヨナタン役のブルーノ・ガンツ。
先日観た『ハウス・ジャック・ビルト』の聞き役のおじいさんだ!
当たり前だけどこんな若い時もあったんだなぁ。

贋作絵画オークションから始まって、駅や列車に舞台を移すサスペンスはなかなかの見もの。
臆病なのと、病気で余命わずかなのとで何とも頼りない殺人請負人ヨナタン。
そういう、見てられないヒヤヒヤ感も大きいかも笑
時々挟まれてた彼の家庭の温もりが脳裏をよぎりつつ(奥さん綺麗で息子くん可愛い♡)、
ラストはリプリーのいいとこ取りみたいな。
なんかズルイ。
でも悪を悪とも思わないキャラはブレてないなぁ。
まぁ、それでこそ"トム・リプリー"なんだね。

ストーリーも結構面白かったし、何よりヴェンダースの映像が素敵だった。
『パリ、テキサス』の乾いた荒野とは180度違うはずの港町ハンブルグなんだけど、ノスタルジックな色調は同じ感じ。
カラフルな建物なのにトーンが重めだったり。
終盤、赤いビートルが浜辺を走る引きの画はお洒落アート。
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