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スウィート・シングのthornのネタバレレビュー・内容・結末

スウィート・シング(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ビリーホリデイから名付けられた巻き毛の女の子。優しいが酒乱の父親。心優しい弟。
モノクロの16ミリフィルムの映像。人物の顔のクローズアップの多様はイタリアのネオリアリズモ映画のようだ。
時折出てくるビリーホリデイが本人にしか見えない。
ビリーホリデイ生き返ったのか?と思った。
子供を顧みず横暴な彼氏の相手ばかりする母。
日常的に暴力を受けても従順に従うその姿はかつてのビリーホリデイ本人と重なる。
この映画のラストは人によってはなんだこのご都合主義は、と思うかもしれない。
たしかにそうだ。
トレーラーハウス以降の物語はあまり脚本上合理的ではない。
ただ監督の「この子供たちには幸せになってほしい」という祈りのような気持ちを感じる。
いい脚本の映画が好きな自分がここまでいい映画だと思えるのは、人物があまりにも生き生きとしているから。
そしてエンドロールはヴァンモリソンのSweet Thingだ。
悪かろうはずがない。
ビリーホリデイの魂もこの物語と一緒に昇華していくようだ。


なぜマリクは警官に背後から撃たれたんだろう?と疑問に思ってたんだけど、彼が"黒人"で、"腰に銃をさしている"のを見つけたからだろうな、と気づいた。何気にきちんと細かいところまで考えられているなと思った。
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