梅雨も明けたので、夏を感じるシリーズ8本目。
確かに夏は感じるけど、決して明るく爽やかな夏ではない。
容赦ない日差し、まとわりつくつくような暑気。
凄惨な状況と相まって逃げ出したくなるような暑さを感じる
1985年8月12日に発生した日航機墜落事故を追う、新聞記者たちの激動の一週間を描いた作品。
原作は『半落ち』『64ロクヨン』などが映画化されている横山秀夫の同名小説。
日航機墜落事故…
乗員乗客合わせて524名中、520人が亡くなった日本の航空史上最悪の事故といわれた出来事。
事故当時は私はまだ子供であったが、新聞やテレビに映し出される現実に衝撃を受けたことは覚えている。
いまと違いインターネットなどで情報を集めたり発信できない時代。
この頃はまだ新聞記者からジャーナリストとしての気合いが感じられ、過酷な状況下での取材に報道としての“本質”を観たような気がする。
インターネットで見聞きしたことをそのまま記事にして、ジャーナリストと思い込んでいる昨今のなんちゃってジャーナリストに爪の垢を煎じて飲ませたいくらいである。
ストーリーも最後まで観入ってしまうくらい面白いが、とにかく役者たちの演技が素晴らしく熱量が半端ない。
まず出てくる男たちが皆熱い。
夏の暑さに加えて男たちの熱さで、もうとんでもないくらいアツイです。
仕事に対しての責任感や誇り、そして信念がビシビシと伝わってきます。
主演の堤真一もモチロン良いですが、今作は堺雅人と滝藤賢一が素晴らしい。
2人とも墜落現場で汗と泥にまみれながらも、凄惨な状況を記事にして伝えようとする記者を熱演しています。
残念なところは皆が熱演過ぎて、セリフがうまく聞き取れないことが少々あったところかな。
まあそれでも熱意は十分に伝わってきますが。
重く苦しい事故が題材ですが、暑い夏の熱い男たちが描かれた良作です。