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めぐみへの誓いのmakoのレビュー・感想・評価

めぐみへの誓い(2020年製作の映画)
3.8
《親子が会えることが奇跡になってはいけない》

1977年11月15日、新潟県の中学校に通う横田めぐみさんは、部活の帰り道に拉致され北朝鮮へ連れて行かれる。13歳から現在まで拉致されたままの横田さんの人生を縦軸に、田口八重子さんら拉致被害者の苦悩と闘いを描く。
事実を基に創られた作品です。

13歳で拉致され家族と引き離された横田めぐみさん。
二人の幼子を日本に残したまま連れ去れた、当時22歳の若い母親田口八重子さん。

横田さんが拉致られるシーンが怖かったです。その後、北朝鮮へ連れて行かれ、朝鮮語を学べば日本に帰れると言われ、それを希望に朝鮮語に励む横田さん。

田口八重子さんは、3歳と1歳の子の母親だったんですね。幼い子を残したまま連れ去られどれほどの悲しみ苦しみだっただろうか。 母乳を飲ませることができないため、泣く泣く洗面所に母乳を搾り出し捨てていたシーンに心が締め付けられそうになりました。

もう1人男性が職場で社長に薬を盛られて拉致られるシーンも怖かった。
まさか職場でこんな事が起こるなんて本人も想像つかないはず。

映画で触れていますが、警察が拉致の疑いが排除できないとする、特定失踪者の数は883名だそうです。
これは分かってるだけだから、実際はもっと多いんじゃないかと、この映画を観て思いました。
どんだけ、日本に北朝鮮のスパイがいるのかと怖くなった。

拉致という卑劣な行為で家族を引き裂いた北朝鮮のやり方に怒りが込み上げてきた。そして、未だ北朝鮮から拉致被害者を全員救出できない弱腰の日本政府にも憤りを感じる。冒頭、横田夫妻が尋ねたことに、「分かりません」しか答えられない大臣(政府関係者)たちにイラつきました。
5人しか帰国できてないのに、ここで終わらせようとしてないよね。

この映画の唯一の目的は、拉致の風化防止ではなく、被害者の奪還です。(HPより)

拉致の実態、家族の無念さ、運命に立ち向かう姿はよかった。
不満点として、終盤近くの所謂夢オチシーンの内容、演出が残念な感じがしました。

多くの人に本作を観て拉致事件を知ってほしいです。
拉致被害者全員の帰国を願ってます。



観客 10人弱
劇場鑑賞 #60
2021 #82
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