Pam

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-のPamのレビュー・感想・評価

4.5
ホワイトトラッシュがどんなのか?というのがなんとなく想像できたけど、このグレン・クローズとエイミー・アダムスの恐ろしいなりきりっぷりがすごいわ。



お母さんはジャンキー、お父さんはいない。炭鉱の街は荒廃し、いまや街中に昼間からジャンキーがうろつく、捨てられた人々。落ちていくしか道はなかったような家庭環境。このスパイラルを冷静に見つめるJDの目。美術館や外食の楽しみもしらないひとたち。薬に走るぐらいしかなかったのだろうか。

こういう人たちがトランプをホワイトハウスに送ったのはなんとなく理解できる。トランプなら救ってくれると思ったのだろう。トランプは人の心を読んでこういうホワイトトラッシュの人たちを殊に味方に取り入れた。
私もこんな立場だったらトランプに入れてるだろう。


とにかく、おばあちゃん役のグレン・クローズは、さすがだわ。この人だいたい、憑依する人だけど今回は髪型からメガネからすべて本人に似せて降臨。エイミー・アダムスは実は私好きな女優さんで、可愛い顔の中に、いつも悲しさみたいな目を表現できる珍しいアメリカの女優さん。決してこの人綺麗だけじゃなくて、悪巧みの顔もとてもかわいい。アメリカン・ハッスル、Vice、Cathe me if you can..でみてきた中でも一番あばずれで一番のホワイトトラッシュぶり。睨みがいい。

いちいち2000年頃のファッションやセット、またスーパーから買ってくる食品まで、しっかり階層別に分かれているアメリカ。すごいな。くっきりすぎて。それをみるだけでもあの頃のアメリカが楽しめるのではないかしら。お姉ちゃんの家の近所の人のサッカーママパーティでお姉ちゃんが最後しっかり使い捨てのはずのプラスチックのナイフやフォークを洗剤で洗ってたのはとてもしみたわ。そうよ。もったいないもの。一回で捨ててられない。こういう細かい所のアメリカ基準からいう貧乏ぽさ(今ではエコロな行動と呼ばれる)もしっかり描かれててよかったわ。計算機のくだりも実はほんとうの話。最近は学校でもリサイクルや学校が貸してくれたりもうするんだけどね。象徴的に描きたかったのだろう。ああゆう高度な計算機は無償提供外なのはどこの国でもそう。


最後に話す「おばあちゃんをもっと自慢しとけばよかった」
だって彼を育てたのはおばあちゃんだもの。おばあちゃんの価値観でできたのが彼。聖書の言葉も全部教えてくれた人。

母親目線感想としては、、Bevは決して人生に失敗してない。こんな立派なおばあちゃんから生まれてこんな素敵な息子を育ててくれたんだもの。ただ彼女は不幸だった。社会も付き合う男も誰も彼女を助けなかった。一回落ちたらそのままだった。堕ちる引力がすごい土地にいたんだからそれは彼女のせいではない。スパイラルから抜け出すのは非常に大変だったとは思う。この引力はもう奇跡がないと離れることができない。だからこのお話は努力やラッキーが重なり奇跡が起きたかなりハッピーエンド。

しかしお姉ちゃんの女優さん、、、ジェニファー・ローレンスそっくりやん。見間違えたわ。

という彼がこの映画やこの原作の制作意欲だったのでしょう・・ここでロン・ハワードにはめられたように涙腺崩壊。やられました。

音楽もベテランのHanz Zimmer・・公式に当てはめたようなエモーショナルな音楽で仕掛けてきます。
Pam

Pam