まりん

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-のまりんのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

J・D・バンスの半生。
壮絶です。それぞれが。
事の発端が13歳の少女を妊娠させ連れ去った祖父だから、ろくでも無いんだけど。

バンスの半生だけれど、もう一人の主役は祖母マモーウなんだよね。
ろくでも無い男に13歳で人生を決められ、別居するまで、戦いながら子供たちを育てたんだね‥
そして父親そっくりに育っていく娘に後ろめたさが有ったんだろうね。

肺炎で死にかけながら、老体に鞭打って立ち上がってからの彼女は凄かった。
放置したら楽なのに、そうしなかったのは、そうして娘の人生を台無しにした責任を感じていたからでしょ。
娘が出来ない分、せめてこの子だけは‥って心を鬼にして、最愛の孫に悪態をつき、嫌われる覚悟で全てを断ち切らせる為に戦った。
自分の食事を削って、孫に食べさせ、立っているのも苦しかっただろうに。

過去に振り回されながらどうするべきか悩むシーン、正直嫌な予感しかしなかった。
自分を最優先したら良いのに・・と思いながら、それをしない気がした。
だけど、とちゅうから、マモーウとの生活が映し出されてから。
彼女の言葉や、愛情の強さが、彼自身に自分を大切にする判断を誤らせない枷になっているのを感じた。

優しい強さになっていた。過去の差し込み方が、絶妙で上手い。
まりん

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