アラシサン弐

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-のアラシサン弐のレビュー・感想・評価

4.2
原作未読で鑑賞。
二人の母親の演技に息が詰まる。

ヤク中の母親とその祖母に関する回顧録というドメスティックな内容だけど、そこにはアメリカンドリームからあぶれた地域の貧困問題が図らずとも映し出されていた。

要所のカットで、いわゆるヒルビリーと呼ばれる人たちが平穏に暮らしていくことがいかに大変かを映していると思う。
アメリカの地域に詳しくなくても、序盤に食事会で出身地を答えて「あぁ、あのレッドネックが集まるとこねw」みたいな反応をされるシーンで、主人公がどんな場所で育ってきたのか察する。

主人公の家庭環境が複雑で過酷なのも、貧困地域が原因だと容易に分かる。
口は悪いがなんとか助けになりたい祖母に対して、母が「誰が助けてくれる?」と叫ぶ台詞には、そんなどうしようもなさが溢れ出て印象的だった。
アラシサン弐

アラシサン弐