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トリュフォーの思春期のpikaのレビュー・感想・評価

トリュフォーの思春期(1976年製作の映画)
4.0
ダイレクトにトリュフォーの人間愛や子供への慈しみを感じられる傑作。
様々な家庭があり親がいて家庭環境によって子供は変化していく、そんな当たり前なことを淡々と子供目線で日常を描き、「大人では許されることが子供には許されない」「子供は親や家を否定することができない」と子供の人権を主張する。
トリュフォーの出生から形成されてきた生涯のテーマであるように「人は愛し愛されるために生まれてきた、愛すれば愛される」と教師に語らせるシーンは胸に響く。

映画的なドラマチックさと言うのではなく、当たり前のことだと言わんばかりに全ての子供たちの家庭環境と日常と思春期前の感情を淡々と切り取ることで、劇的に見えるものもありふれて存在していることなんだと気付かされる。
子供ならではの愛らしさがコミカルな作風にマッチしていて微笑ましく、子供たちの見分けがつくようにと服装を変えない演出にトリュフォーの優しさが滲み出る。

ラストに子供たちと観客が向かい合う形で終わらせるエンディングは、この作品を通して訴えるトリュフォーの想いが映画が終わっても観客が心に残るようにと余韻にしてくれる素晴らしさだった。
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