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トリュフォーの思春期のろのレビュー・感想・評価

トリュフォーの思春期(1976年製作の映画)
5.0

今年の午前十時の映画祭ラインナップの中で、一番楽しみだったのが、今作「トリュフォーの思春期」!

やっとやっと観れた~~\(^o^)/
やっぱり、思った通り、大当たりでした!

私の大好きな「お早よう」「私は二歳」「大人は判ってくれない」をミックスしたような、すっばらしい映画!!!
そして、トリュフォー監督の、悲しみを抱えた人への温かい眼差しが感じられて、かなりグッときてしまいました。


学校へ向かう長い階段。
子どもたちは元気いっぱいに駆け下りてくる。
そんな無邪気なカットで始まり、
子どもたちが笑顔でカメラを見上げるカットで終わる。
もうこれだけで、幸せな気持ちになります(#^.^#)

友だちのお母さんに恋をし、真っ赤なバラをプレゼントする少年。
いたずらっ子なオチビちゃん。
「小さな恋のメロディ」のような初々しい恋。
学校に馴染めず、いつも独りぼっちの男の子ジュリアン。
それぞれのエピソードが抜群におもしろい。


特にね、警察署長の娘ちゃんエピソード。
家族でレストランに行きましょって話になって、女の子はお気に入りのコアラのぬいぐるみバッグをどうしても持って行きたい。でも、ママもパパも「そんな汚いの、カッコ悪いよ」って反対する。しまいには「言うこと聞かない子は留守番しとき!」と二人で出掛けちゃう。
そこで、娘ちゃん、ピーンと閃きます。
「パパのお仕事道具、使っちゃおう!」
パパ愛用の拡声器で、ご近所さんに呼びかけ(笑)「お腹すいた、お腹すいた」の声が、コの字型のマンション内に響き渡ります(笑)
そして同情したご近所さんが食べ物を届けてくれる。
このあたり、ヒッチコックの「裏窓」みたいで、めちゃくちゃおもしろい。


あとね、赤いオーバーオールが可愛いわんぱく坊やのグレゴリーくん。お母さんの留守中に、ネコと一緒に窓の外に出ちゃうの。こういうシーン、市川崑の「私は二歳」にもあったけれど、本当にヒヤヒヤ。近所の人がハラハラ見守る中、グレゴリーくん、なんと10階から落っこちます。でも奇跡的に無事で「グレゴリー、どしん!」と言って笑ってるの。和みますよ(笑)


でもこの映画の魅力は、可愛いエピソードだけではないところ。
児童虐待や子どもの権利についても描かれていて、その場面が際立っていいのです。

「生きるのは苦しい。だけど、人生は美しいんだ」
「悲しみを知らなければ、喜びを味わうことは出来ない」
「子どもの頃に苦労した経験があるほど、人生は豊かに、人は幸せになれる」

畳みかけてくる素晴らしいセリフの数々に
思わずホロリときてしまいました。
ろ