Aika

トリュフォーの思春期のAikaのレビュー・感想・評価

トリュフォーの思春期(1976年製作の映画)
3.7
フランスの小さな街に住む子供たちのとりとめのない日常が紡がれていく。
あぁ子供の頃って毎日が冒険で楽しかったな…と懐かしさでつい目を細めてしまう。

友達のお母さんに憧れてバラの花束をプレゼントしちゃう少年のエピソードには、授業参観でよく「誰のお母さん?えっお前の?」と言われるのが苦痛だった、全く私と似てない若くて綺麗だった母のことを思い出し、

親の留守中に部屋から拡声器で「お腹減った!」とアピールして、ご近所さんからちゃっかり食料をもらっちゃう女の子には、母が作ってくれたポシェットに大事なものを詰め込んで毎日家出ごっこするくせに、5時の鐘が鳴ったらすぐ「今日のご飯なに〜?」と家に帰ってた自分を重ねる。

自分の実体験とは全く違うエピソードなのに、その根底にある感情が同じだったり、そこから生まれる行動に「あっわかる!」となったり、自分の少女時代を振り返って幸せだったなと改めて両親に感謝。

そして微笑ましいエピソードに混じり他所から越してきた少年の衝撃的な事実に、大人は思いやりが欠けていたことを反省し、子供は人生の理不尽さを感じ、それぞれ成長していく。

その事件を受け子供たちへ送られた先生のメッセージが熱かった。

子供時代は親から愛情が注がれ守られた安全な世界があるからこそ、自由を楽しむことができる。
それは絶対に揺らいではいけないこと。

【午前10時の映画祭】にて

236/2017
Aika

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