小

トリュフォーの思春期の小のレビュー・感想・評価

トリュフォーの思春期(1976年製作の映画)
4.0
「午前十時の映画祭8」にて鑑賞。フランスの小学校の子どもたちのアレコレ。終業後、カラフルな洋服の子どもたちが坂道を駆け降りる冒頭のシーンにまず凄い元気だな~と。

その後も小学生のみならず、2歳児の驚きのエピソードを交えつつ、子どもたちの痛快な姿を描く。親、先生という大人の常識、規範をやすやす超え、いきいきと、逞しい子どもたちの姿は可笑しく、微笑ましい。

終盤、どこか陰のある転校生の男の子ジュリアンの秘密が発覚する。それを受け、先生がクラスの子ども達に向け言ったことの趣旨は次のよう。

・子どもは構造的に理不尽な状態に置かれている。
・理不尽を前向きに受け止めれば強くなることができる。
・人間が生きていくためには、愛し、愛されることが必要で、それができる大人になれ。

先日『サーミの血』のトークショーで宮台真司先生の話を聞いて思ったことだけれど、こういう子ども時代の映画には、意識していないと忘れてしまいかねない人間の根源的な姿が描かれていて、それを見ることで、忘れてはならないことを思い出す効用があるのではないかと。

無礼講が信じられなくなった現代においては、ルール無用とばかり動きまわる子どもの姿に良いなあと共感する人がいること(一緒に映画を見る人がいること)で仲間を認識し、愛とか寛容の気持ちをさび付かせないようにする効用がこうした映画にはあるのではないか。そして愛でキッチリ締めてくれる本作は、とても効用が大きいのではないかと。

●物語(50%×4.0):2.00
・警察所長の娘がイイ。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・子どもの演技大変だっただろうと。子供好きでないと作れない映画。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・カラフルなところが素敵。
小