8637

私は確信するの8637のレビュー・感想・評価

私は確信する(2018年製作の映画)
3.0
陪審員=ある意味の素人に対する説得は間接的な暴虐。
容疑者も弁護士も証人も、裁判では立場に見合う人間の価値すら問われている。
エンタメ性・映画的な沈黙・一人の女性と照らし合わせた"事実"など、誰でも観やすく進められる法廷映画だったと思う。予習があれば尚良いのかもな...

冒頭から日本の悪い改変があって二度手間的な感じもするのだが、本編のクオリティで忘れさせてくれる。
どことなく「THE GUILTY ギルティ」を思わせる聴覚の使い方やスタイリッシュさは真面目だけでない映画の証拠。
更に終盤の弁論シーンは打って変わり劇伴のない中、正義が心に語りかけて来る。

誰でもない存在、とも言えるノラの影響もあり二審は本格的に始まるのだが、人間の甘さというのはそこにある気がする。
自分勝手さから自分自身が"狂人"として動かされるオチ。「自分の力でしか何ともできない」と情熱を持って動くことへは感心するが、経験として、何を残すことを望んでいたのだろう。

100%の善悪なんて絶対に決まらない世の中で裁判という制度が確立されて、有罪と無罪の見分け方すらも偽物で、「仮説」ばかりしか立てられない、非常に曖昧な環境の中で問いかける彼らだが、もはやそれに固唾を呑みながら頼るしかないのかもしれないな。
8637

8637