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ある人質 生還までの398日のftheminionのネタバレレビュー・内容・結末

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

 シリアでISに拘束された写真家志望のデンマーク人青年ダニエル救出までの13ヶ月。拘束後の人質たちの処遇、救出専門家とISとの交渉、身代金を集めるために奔走する家族、憔悴する恋人、政府とのやりとり等を描く。登場人物ひとりひとりの動向を固唾を飲んで見守る2時間。最後の一秒まで気が抜けない。助かるとわかっていても緊張で身体が固くなり、画面から目が離せなかった。

 救出のために政府が尽力する国とテロリストとは交渉しないと突き放す国があり、200万ドルの身代金を用意出来る家族と出来ない家族がいる。地獄の沙汰も金次第だ。国に見捨てられたら家族を頼るしかないのだけれどそもそもある人質には家族がない。命は平等でないと思い知らされるのは本当にしんどい。
 
 ダニエルは幸運だった。家族がいた。デンマークはテロリストと交渉しないが、家族は募金を呼びかけ200万ドルもの身代金を掻き集めた。彼の国には善意があった。
 
 ダニエルが助かって本当に良かったけれど、わたしたちは湯川さんと後藤さんを救えなかった。これを観てからこの無慈悲な国と民のことをずっと考えている。だって彼らが拘束されていた時クソコラで遊んでいたんだよこの国の人々は。

 13ヶ月も拘束されていてダニエルの髪と髭が伸びないのは不自然だったので-0.2。それさえなければ満点でした。
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