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ドント・ブリーズ2のYOUのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)
3.7
ロド・サヤゲスが監督・共同脚本を務めた、2021年公開のサスペンス・スリラー。
スティーヴン・ラング演じる盲目の老人ノーマンの暴力性を視点を変えて描いた今作、監督は前作でもフェデ・アルバレスと共に脚本を執筆したロド・サヤゲスとのこと。今作最大のポイントは言うまでもなく「殺人鬼ノーマンのベビーターン」であり、この大胆なシフトチェンジはやはり『ターミネーター2』を想起させます。しかし今作ではノーマンがギャング達に襲撃される前半部で、前作における難関(つまり今作においては好都合な要素)が尽く潰されていってしまいます。何しろ今回の相手はノーマンと同じ退役軍人たち、人数も一段と増えており、更に前作でめちゃくちゃ厄介だった”アイツ”が何と早々に死亡、しかも外からは光が漏れてしまっており、さすがのノーマンも今回はかなりの苦戦を強いられます。そして極め付けとして彼らはノーマンの屋敷を焼き払ってしまい、これにより舞台も中盤以降は別の場所へと移ることになる訳で、この時点で自分は「これってドント・ブリーズなのか?」と疑問を感じてしまいました。しかしそこで少女フェニックスに待ち受ける”ある真相”、更にその危険で病的な心理が反映されたような”異様な空間”、これはまさに前作で心底震え上がったあの感覚とも完全にシンクロする展開であり、ここから今作は前作にあった旨味をどんどん放出していき「ドント・ブリーズを再構築する」ようにクライマックスへと突入していきます。前作でとにかく絶望的だった”ノーマンの一枚上手っぷり”が今作では痛快感として置き換えられており、『96時間』や『イコライザー』のような”リベンジアクション”としての味わいがかなり濃厚でした。

今作最大の宿敵ライアンはノーマンとは鏡像関係にある存在であり、物語全体が一貫して彼らに取り巻く”暴力に満ちた因果”を中心に展開されていきます。そこには”二人の父親”の間で翻弄されるフェニックスの成長も重ねられており、『ドント・ブリーズ』の続編として個人的には十分満足のいく出来でした。また作品自体も前作と対になるように構成されており、”罪の因果”というテーマもより際立っています。ただやはり「T2的続編」であるが故に全体の印象が若干軽くなった感じは否めませんし、『ターミネーター』同様に前作『ドント・ブリーズ』がそもそも”あまり続編には向かない作品”なのではないかと思ったりもしました。しかしそう言ってる私は『T2』もめちゃくちゃ好きですし、前作以上に好き嫌いが分かれる一作だとは思いますが観る価値があることだけは断言出来ます。面白かった!

































































































































最後の最後のアレだけはテーマ的にも絶対に要らなかったと思う。ただやっぱり嬉しいし次にも期待してしまう。
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