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ドント・ブリーズ2のmichikoのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)
2.5
金目当てで舐めきった若者vs元軍人で自分の家を知り尽くした盲目老人、かと思いきや老人の内包する怪物を描くという幾つもの意外性で大傑作であった前作。
ハッピーエンドでありつつも何処か不穏な空気を残した結末で、続編に期待が高まっていた本作。だが、その設定からして本シリーズの特徴を出しつつも1作目を越える展開というのは非常に難題であり、出された答えとしてはセオリーやキャラクター性をねじ曲げるものであった。

老人の家族に起こった悲劇はまるで神から見放されている様で、老人もまた神を見放し大罪を積み上げていく。そんな怪物であった老人が本作では新しく子供ができる事で贖罪の道を歩む事になる。
それはシナリオ展開としては十分ドラマティックではあるが、『ドントブリーズ』のタイトルを掲げるにはそこにどうしても老人と誰かのバトルを組み込む必要があった。舞台や戦う相手が変わってしまった事で、前作での盲目だからの強みや盲目老人相手にする特有の恐怖演出、そして彼の狂気という魅力は無くなってしまい、結果としては“らしくない”作品となってしまった。

ただ、長回しや無音による緊迫感の演出は、少ないながらも本作でも非常に面白かった。
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