佐藤

セブンの佐藤のレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
5.0
※ネタバレが多分に含まれます





【キリスト教の七つの大罪を犯した"罪人"たちが裁かれていく】

ミルズが犯人であるジョン・ドゥを撃ったのはなぜかと言われれば、犯人の話が本当だと思ったからですよね。
なぜそう思ったかとかそれが妥当な判断だったかっていうのを語ると、そういうのが好きすぎて、セリフや体の動きはもとより、目の動きとか声色とか、そういうのを0.01秒単位で考察して、まじで1万字とかいっちゃうと思うのでやめておきます。

それは置いておくとして、僕が一番注目したポイントは、ミルズが撃つ直前に、一瞬だけ差し込まれてるミルズの妻であるトレイシーの映像です。
このギミックは言わずもがな、ファイトクラブで多用されているもので、その源流はここにあったのかと嬉しいような、悲しいような、形容しがたい複雑な気持ちになりました。
で、少しというか、かなり引っかかるのがその時の妻の表情なんですよね。
美しいですが、無表情で、口角はほんの少し、ちょうど1ミリ程度あがっていて、目は力のない感じなのに、何かを訴えかけているように見える、なんとも言えないものでした。

これが何かと言われれば、僕はこれを呪いだと思いました。

ミルズはこの美しい妻の思い出によって、犯人をここで殺さなければ死ぬまで後悔し、苦しみ続けることになるでしょう。
それが、誰によってかけられた呪いかと言えば、いや言うまでもなく犯人なのですが、しかし、僕は妻もその「片棒」を担いでいると思います。
なぜなら、あの妻の映像は犯人が嫉妬するのも無理がない、まったく常軌を逸する美しさで、そして、彼女はもう永遠にミルズの前には現れないからです。
いや、片棒というのは語弊があるじゃないかと思われると思います。
なんというか人を好きになる理由が「かわいすぎるのが悪い!」とか「かっこよすぎてもはや犯罪!」みたいな感じです(伝われ)

まあ、冗談はおいといて(冗談じゃないんだけど)妻のことを思い出すなら笑ってるところとか、楽しそうにしているところが自然なはずです。
にも関わらず、こんな表情をしているのは、僕には呪っているようにしか見えませんでした。
文章で書くと「いや、それはただリラックス時の表情なんじゃ」とか「別にそんな大層な意味はないんじゃ」と思われるのが普通だと思います。
しかし、まず間違いなくこの表情は寝起きの表情とか、疲れているところとか、そういうものではないです。
おそらくこの感想は、直接その表情を見ていただかないと分からないと思います。

ここまで「妻」の映像について話しましたけど・・・
あれって誰なんですかね?????
いや、妻の映像って言いましたけど・・・妻は金髪なのに、あの写真は黒髪で、そういう印象はなかったけど北欧系みたいにすごい美白で、同じ人物にはあまり見えなくて・・・
でも、状況的にそこらへんの誰かってのはさすがにおかしいし・・・

あと・・・あの目は焦点があってないようにも見える、もっと言えば生きてる者のそれではないと言われればそういう風にも見えるし、顔の回りのあれは箱って言われればやはりそう見えないこともない。
そうは言っても殺害された死体の首にしてはちょっと綺麗すぎるし、犯人が綺麗に整えたのだとしても、だったらあの段ボール箱はちょっとお粗末すぎるし、それは無理がないかなあって思ったりもする。

つまりはそういうことなのかもしれない。

あの一瞬の映像は、不鮮明で、どういうシチュエーションの映像か分からないし、そもそも誰かも分からない。
それに、あれはミルズの脳裏に浮かんだものなのか、何なのかもよく分からない。
だけど、多くの人はあれを見て「これはまぎれもなく妻だし、これが箱の中身が妻の首であるという可能性を高めている」と考える。

それと同じように、ミルズは犯人のセリフやサマセットの様子という状況証拠から犯人の話が事実であると判断したわけです。

しかし、犯人は憤怒によってミルズに自分を殺させることが目的であって、実際に箱に妻の首が入っている必要性はないのです。
妻と似ている感じの女性の首であるとか、そう見えるものを入れておけばいいわけだし、もっと言えばミルズにそうだと思わせればいいわけです。

ただ、そんな七面倒臭いことをしなくても、実際に妻を殺して首を入れておくのがやはり一番手っ取り早いし、目的を遂げるには確実な方法だし、逆にそうしない理由は見当たらないのですが・・・

ところで、そういうこととは別にして、作中や考察では殺すか殺さないかの0か100で語られますが、それが50とか75とかだったらどうなのでしょうか?
例えば、両耳のそばで発砲することによって聴覚を奪うとか(ケヴィン・スペイシー出演のあの作品でやってましたね)
足とか腕とか致命傷にならない部位に撃つとか。
確実に殺そうと9発全弾頭部に撃ったけどまるで本当に神に選ばれた存在かのように奇跡的に助かったとか。

最後のは多分全世界に神として崇める人が大量に表れちゃうから、死ぬより絶対いいはずだし、ちょっとそういう可能性も考えてたりしないのかな🙄🙄🙄

あの犯人の弁護士が心神喪失で犯人を無罪にする可能性ってのはもちろんめっちゃあるけど、ミルズはあの状況でそこまで考えられてたようには見えなかったので、ミルズの「決断」の理由にそこは含めなくてもいいかなあと思いました。
あとは、可能性として、犯人はミルズの自殺まで含めて七つの大罪の完成と考えてるというのもあり得るし、「あんなかわいい嫁持ちやがって!お前は一生苦しめや!」とそれまでの殺人はなんだったのかっていうご都合主義なこと思ってる可能性もあるというか、こっちが圧倒的に本命だと思う。

サマセット黒幕説というのもあるようです。黒幕というのは無理がありますが、「最後の二件」は共犯で、箱のくだりでグルになってミルズをはめたという説ですね。メトロノームを投げるところとか、ミルズに苛立ってるようにもたしかに見えます。
それに、ヘリに近づくなと言うのは箱の中身は妻の首ではなく、それを視認されないためで、「首だ」と言わないのは音声が聞かれてるからで、自分はそうは言わないがミルズにはそうと思わせようとした、と言うのも仮にそうだとします。
が、だったらあの中身はなんだったのかっていう謎が深まりますし、サマセットが共犯だとしたら、ラストの「戦う価値がある」とは一体なんだったのかということにもなります。



そんな感じで、今現在で27年前になるブラピめっちゃかっこええし😆
モーガン・フリーマンの阿部寛の3倍くらいあるくそでけえ目ん玉で相手をすげえ見てくるのめっちゃこわいし😰
ブラピ、モガフリ(なんだこの略し方)ケヴィスペ(なん略)っていう一人出てたら面白いことが確定する役者が三人も出ていて面白くないわけがないし😆
ミルズ宅で騙されてその家に住んだ話で、3人で爆笑して誘い笑いしてくるのずるいし🤣
ミルズがサマセットに「この部屋にガサをかける正当な理由がない」って説得されて「分かったよ・・・俺が間違ってた」って言って次の瞬間に蹴り開けるとこ笑っちゃうくらいかっこいいし🤗
犯人が、「あ!刑事が俺んちにきてる!!!」「よっしゃ!撃ったろ!」っていきなり発砲してくるとこなんかすごい好きだし😁
犯人は片手でもあの命中度を誇るくらい銃の腕すげえいいのに、逃げ方がおじいちゃんくらいヨタヨタしてたり、遮蔽物に隠れずに待ち構えてるとこは矛盾とかじゃなく愛すべきギャップだし🤗
「お前のこと、実はわざと殺さなかったんや」って分かりきったことドヤ顔でいうのかわいすぎるし🤗
犯人が「あのデブは人前に出たらみんなが笑うから罪だ!」っていう無茶苦茶な論理をやけくそみたいに喚くところは、子供の言い訳かって笑ったし🤣
定年間近まで銃を撃ったことがない、合理主義、冷静沈着、事なかれ主義のサマセットが危険だったとはいえ、ただ銃を向けるんじゃなく、いとも簡単に威嚇射撃したりとか、爆弾処理班を待つべきなのに「箱開けるわ」って、明らかにミルズに影響されてるのが分かるとこもすごいよかったし😆
一瞬も退屈させることなく、エンタメとして完成されながらも、考察の余地を多分に残すし、示唆にも富む、これぞまさに映画❗❗❗❗❗と基本的に大作・名作と呼ばれる映画しか見てきてない僕は思いました😊😊😊😊😊



関係ないですけど、ケヴィン・スペイシーの名前を思い出す時、絶対に「えーと・・・フランシス・・・ベーコン・・?」ってなるの僕だけなんですかね?

僕「検索しよ・・・あーケヴィン・スペイシーねーまあ分かってたけどさー」
二秒後僕「えーと・・フランシス・・・ベーコン・・・???」
ってもう今まで100回はなってるんですけど僕だけじゃないですよね?????

てゆーかフランシス・ベーコンって誰だろう・・・
佐藤

佐藤