観客は、「SE7EN」という作品の持つ、どろっとした、もやーっとした、ねちゃーっとした、蒸し暑い空気感に、ずるずると引き込まれていく。
何一つ救いのない作品であるが、忘れることができない。
オープニングから既に嫌な感じを植え付けられ、物語が進行してもなお緊張感が維持し続ける。
最後の最後。
おいおいその展開はないだろう……
いや、ないって…
うわっ、だめだめだめ、いやーーーーっ…
の嫌な感覚は忘れられない。
観客誰もがその展開をわかっていながら信じたくなくて否定していて、しかし、予想通りの展開ゆえに驚愕する。
物語が終わりクレジットが終了するまで誰一人席を立つ人がいなかった初めての映画。
たぶん誰も立てなかったのだと思う。
劇場内が明るくなって初めてこの映画の空気感から解放されたのだろう。
これまで何本も映画を観てきた中で、そんなことは、この「セブン」と、「ミリオンダラーベイビー」の2つだけだった。
この作品を観たのは、劇場でのただ一回のみ。
しかし、どのシーンも僕の記憶に刻み込まれている。
ねっとりと。