あんがすざろっく

セブンのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
5.0
1995年、正に世紀末を目前にしたこの年、その暗澹とした未来を早くも予見していた作品が世界を震撼させた。
しかもだ、決してアングラ的な作りでもなく、メジャー大作の扱いで、全世界で大ヒットしてしまったのである。世の中の人達がこういった作風を「エンターテイメント」として受け入れたのだとしたら、文字通り世界は世紀末だったのだろう。
全編通してほぼ雨模様のトーンの暗い映像(独特な色彩は、銀残しという処理方法だそうです)、陰鬱な事件、救いようのない結末。
「エイリアン3」での失敗をバネに、後に映像派として名を知られることになるデヴィッド・フィンチャーのネームバリューを一気に押し上げた作品である。
自分の撮りたい作品を誰にも媚びずに作った結果、世間が彼のセンスに魅了されてしまった。
まだまだ甘ちゃんだった僕は(と、本当に痛切に感じた)、この話題作を、テーマなんか意に関せず(そりゃ映画会社もこんな映画を大々的に公開するなんて思ってなかったから)、彼女とのデートムービーに選んでしまった。しかも、付き合い始めてまた2日ぐらい、動物園に行って、楽しい気分で盛り上がった後にである。
観終わった後の、何とも言えない重苦しい空気と言ったら‼︎
が、彼女には申し訳ないけど、僕にはその衝撃が、映画ファンとしての喜びになり、この作品に出会えたことを感謝せざるを得なかった(笑)。
まぁあのブラッド・ピットの髪型がカッコよくてですね、とにかく真似したかったですよ(今でもカッコイイって思うもん)。
人の「痛い‼︎」と思う部分をグリグリとえぐり、だけどそれをスタイリッシュに描こうとしているから、そういうのを生理的に受け入れられない人もいるとは思うけど、あの結末は必然であったでしょう。今幸せを感じている人、ましてや恋人なんかと一緒に見ちゃダメですよ(経験者は語る)。
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