ShoSaito

セブンのShoSaitoのレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
4.8
七つの大罪。
連続猟奇殺人。

不安を煽るノイズ音。
続く緊張感。
予測不能な展開。

間違いなく生涯ベスト5に入る映画。

特に監督で映画を観るわけではないが、
ふと思い返せば全て観ていたフィンチャーの
“色”を初めて知った作品。

観るものを否応なしに作品に引きずり込む
オープニングから世界観、映画全体の雰囲気
は一貫して鬱々としている。

また、その世界観を構築する美術、特殊メイク
は細部にいたるまでこだわりが感じられる。

それは、ミルズとサマセットが一連の事件に
のめり込んだように、観客のこの映画への
没入を容易にした。

すぐに現出するミルズの若さ、
サマセットの老練。
赴任したてのミルズ、定年直前のサマセット。
この設定だからこそ、物語は活きる。


後味が悪いとか、どんでん返し系だとか、
衝撃のラストなどと紹介されることが多いが、
決してそれだけではない怪作。

犯人役を簡単に悟られないようにするために、
オープニングクレジットでケヴィン・スペイシー
の名前を出さないほどの、作品に対する
フィンチャーの徹底ぶりには舌を巻く。


雨で濡れる街で始まった一週間は、
渇いた荒野で終わる。


「ハッピーエンドはない、絶対に」

そう言ったサマセットにもここまでの結末は
予想できなかった。

ミルズを見送った彼は何を想い、
この先どう生きていくのだろうかー。



地下鉄で揺れる、笑い合ったあの部屋。
あの団欒をもう一度。
ShoSaito

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