観る側の想像力がバンバンに掻き立てられていくこのダークな雰囲気や世界観が好きで繰り返し観てしまいます。アメリカの架空の大都市で、地名も時代設定も不明。その代わりに、ごみごみとした通りや騒がしい住人達、降り続く雨といった、映画全体を支配する陰影の強いビジュアルは、人間の憎悪や腐敗感が支配しているような陰鬱な雰囲気を醸し出していました。
そしてラストの衝撃。やはり強烈。仮に展開が予想できたとしても、おそらく衝撃が和らぐことはないでしょう。全体的にも完成度が高くて、毎回固唾をのみながら観てしまいます。
おぞましい猟奇殺人事件の犯人を追う刑事2人によって展開されるミステリー。ベテランのほうをモーガン・フリーマン、威勢のよい若手をブラッド・ピッドが演じます。殺人現場に仕込まれた犯人によるメッセージによって、猟奇殺人には意図的な連続性があることが判明してゆく。それはまるで刑事ふたりへの挑戦状みたい。限られた情報から推理を引き出す刑事2人のやりとりにも集中力がMAXになってしまいます。
若き監督デヴィッド・フィンチャーは本作で一気に名実共に有名になりますが、初期の作品で後世に残る名作を作り上げてしまった、とも言えるのではないでしょうか?
しかし30年近くも前の作品なのにモーガン・フリーマンは見た目があまり変わらない……。そして怒涛のラストでみせるブラッド・ピッドの迫真の演技!完全に主役を食っちゃってますよね。