方眼

セブンの方眼のレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
4.3
非常に後味の悪い映画。老刑事の忘れがたい話。非常に印象的な「天気」と「街」の情景をラストシークエンスだけ変えたのは、物語世界を観客に向けて解放するためであったと言える。雨と街の情景で物語が閉じてしまうと「あれはあの街で起こった虚構の事件だ」ということで安心出来るのだが、そこから外へ出ることによって観客はさらに物語の境界を拡張しなければならない。それが監督の狙い通り、「不快感」の元。ただ、そういった演出の仕掛けが成功しているにもかかわらず、作品の自己完結性が少々強すぎるように思う。ハリウッドエンタメのポジティブな面をダークに振る、その手練れ度。これがヨーロッパ人の監督の手なる物ならばもっと難解であったろうし、東洋人監督のものならもっと無常感あふれる物になったように思う。この「世界の否定」が「物語を閉じる」ことの先へ向かえば。確かに世の中に溢れている大多数の「物語」への強烈な批判精神に富んだ作風は貴重。
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