このレビューはネタバレを含みます
イジメっ子を殺していく、高校生カップルの話。
イジメっ子グループにこき使われていた主人公が風変わりな男子高生と出会い、イジメっ子を自殺に見せかけて殺していくと。
話自体はなかなかハードな内容なんですが、人の死を軽く描いているのが特徴的で、見掛け以上にブラックな作品になっています。
特に自殺した人間をやたら美化したり、死んだ人間に思ってもない言葉を贈ったりと、人々の偽善性を暴くような風刺っぽい描写が印象的。
「公開当時は若者の自殺が社会問題になっていたのかな?」と思いきや、逆に本作がコロンバイン高校銃乱射事件に影響を与えた…なんていう話もあるみたいですね。
「イジメをする人間は死ねばいい」というイジメられっ子の復讐の物語として、共感する部分もなくはないのですが、個人的に引っ掛かったのはゲイ差別の部分。
主人公がジョックスをゲイに仕立て上げ、無邪気にホモフォビアを開陳するのには引いてしまいました。
イジメられてるという意味では、太っちょもゲイも同じだと思うのですが、これも時代なのでしょうか…。
最終的には、男子高生が暴走し、学校に爆弾を仕掛ける事態にまで陥るものの、改心した主人公がそれを止めさせます。
男子高生がわりとミステリアスで抽象的な存在として描かれるので、もしかしたら、彼は主人公のオルターエゴやイマジナリーフレンドだったのかもしれません。
そう考えると、男子高生との決別は、主人公の中にあった怒りや憎しみとの決別も意味していたのかなと。
個人的にはラストの描写が良いなと思っていて。
別に学校なんて爆破しなくても、周囲の人に優しくするだけでも、世界は変えられるという事。
まさに「隣人を愛せよ」というキリストの言葉を思い出させますし、混沌とした時代を生きる今の私達に必要なものだと思うのです。