梅ちゃん

サムジンカンパニー1995の梅ちゃんのレビュー・感想・評価

サムジンカンパニー1995(2020年製作の映画)
3.9
1991年斗山電子の河川へのフェノール流出事件をベースに、企業倫理を追求する3人の高卒OLの奮闘をコメディタッチで活写。

どんなに優秀であっても、制服という型に嵌められ、お茶汲みや雑用しか任せてもらえないステレオタイプな差別描写が満載。当事者としたら悔しいのは当然だし、企業にとっても、熱意と能力のある優秀な人材の業務に制限を掛けるのは愚策の極みと思う。未だに学歴による差別は厳然として存在すると思うが、イム・シワンの『未生』をはじめ、そういった要素を物語に上手く織り込むのは韓国エンタメにこそ多いと思う。それだけあちらの社会が厳しく、働いている人達の階層意識、被害者意識が強いということでしょうか。

物語は、あからさまな会社からの嫌がらせと愛社精神の板挟みで、内部告発の難しさが描写される苦しい展開が続きます。その為、明らかにフィクション然としている物語の結末は素晴らしいカタルシスが得られると思う。これはコロナ禍にあって沈んだ社会に活力を与えてくれるこの作品の着地点として、大いにアリだったと思いました。

なお、オフィスにおける朝の体操は文化の違いとして、ファニー且つ興味深かった。あれは朝から楽しそうですね。



以下蛇足です。



経済的事情など、止むに止まれぬ事情があった場合は別にして、学生時代に遊び倒してろくに勉強もせず、勉強が嫌いとか言って高卒で入社した挙げ句、大した成果も挙げずに『大卒ばかり優遇されてズルい』とか騒ぐ子を見るたびに『アリとキリギリス』を思い出します。

少子化の進行にともなって大学進学率も上昇し、新卒社員の質低下が叫ばれる昨今、企業は学歴偏重の古い物差しから本当の実力評価主義に転換し、組織の競争力強化を進めて行くべき。学歴という骨董品のフィルターで、真に優秀な人材のモチベーションをいたずらに損なうべきではない。そう改めて考えさせられる作品でした。