いち麦

靴ひものロンドのいち麦のレビュー・感想・評価

靴ひものロンド(2020年製作の映画)
5.0
ロルヴァケルと愛人役L.カリーディの美貌をたっぷり映しながら、形を保ったまま崩壊していく歪な家庭の顛末を容赦なく見せつける。不倫夫が一番悪いが、子供達の冷淡な目は母親にも向けられる繊細さに唸る。見事な視点転換。キャスト勢豪華な苦い人間ドラマ。秀作。

靴の紐はしっかり結ぶと足に靴が馴染み安定する。でも、時々緩むから気がついたときには締め直さないといけない。解けたままにしておくと他所に絡まって大きな怪我の元にもなる…。靴ひもに纏わるEpは物語の鍵にもなっていたし、家族を繋ぐ暗喩としても捉えられる。
ジェンカ(フィンランドのフォークダンス・ソング)や、バディネリ等のバッハの楽曲を、ビターな物語とは裏腹にコミカルに使う演出も効いていた。最後のパートは笑い処のオチと捉えられるかも知れないが、自分は寧ろ心突き刺す痛烈な皮肉に感じた。とても痛い。

《覚え書き》
登場人物
妻ヴァンダ(アルバ・ロルヴァケル/ラウラ・モランテ)
夫アルド(ルイージ・ロ・カーショ/シルヴィオ・オルランド)
娘アンナ(ジョヴァンナ・メッゾジョルノほか)
息子サンドロ(アドリアーノ・ジャンニーニほか)
愛人リディア(リンダ・カリーディ)
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