さすが、しっかりしている、とは思うもののイマイチハマらなかった。
どんなことでも、はじめのうちは楽しく、慣れてくるに従って飽きてくる。世阿弥は『風姿花伝』で「珍しきが花」、「住する所なきをまず花と知るべし」とか書いているそうだけれど、濱口竜介監督がこれまでやってきたことを洗練させた感じで、自分にとっては既視感？かな。あまり響かなかった。
劇中劇の作品も見たことあるし、セリフが自然に出てくるようになるくらいまで感情を入れずにひたすら台本を読む「濱口メソッド」も自分にはお馴染み。なんなら劇中の「ワーニャ伯父さん」を全部見たかったかも。あの人が演じるソーニャのラストシーンはちょっと凄いと思った。
全体を通して刺激、意外性とも小さめで、手堅くまとまってる感じ。自分と同じくらいの年齢であろう主人公の家福悠介の心情にノレず、タルコフスキーの映画で見たようなシーンの後でたどり着いた殺風景な場所で「わかった！」とか言うのは、その場所だからこそのポイントがあったのかもしれないけれど、何故そこでわかるのかの必然が自分は理解できなかった。
濱口監督作品だから寝落ちしないで見たけれど、おしゃべりな映画のセリフは時々頭が飛ばしちゃうんだよね、刺激が強くなく、尺も長いからなおさら。かと言って主人公に共感できないから、わざわざ映画館でもう1回見たいと思うほどでもないし。
ということで、いずれ配信されるだろうからその際に、また見てみようかと。
