むーん

ドライブ・マイ・カーのむーんのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

原作は未読。序盤は頻出する性描写にお洒落な家屋風景、レコードにドライブ、謎めいた挿話、といかにもハルキ文学的な要素が詰め合わされてて苦笑すら漏れたが、やがて身近な存在の喪失という普遍的テーマと誠実に向き合う姿勢が浮き彫りにされていき、かつ緊張感に満ちた展開も相まって、深く胸を打つ一作となった。決して目まぐるしい展開や迫力のあるアクションの描写があるわけでもないにもかかわらず、三時間という長尺の上映時間を退屈せずに済んだのは、洗練された言葉遣いから織りなされる会話劇であったり、機微を丁寧になぞった人物描写の力が大きいものと思う。ひとつひとつの場面が孕む意味が重く、かつ、意外な展開も仕込まれていたりして、気の抜けない映画だった。今年鑑賞した作品では暫定ベスト。
むーん

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