Ninico

ドライブ・マイ・カーのNinicoのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.6
村上春樹の短編小説が原作で、
ハッピーアワーの濱口監督の脚本。
チェーホフのワーニャ伯父さんを劇中劇にしたこの映画は、いかにもインテリ受けしそう&カンヌ映画祭で脚本賞も受賞したとのこと。村上春樹育ちなので早速鑑賞してきた。

活字表現と演劇表現と映像表現の垣根を越えて映画のメタ認知をこれでもかと有効活用してくるし、
「伝わらなさ」の言語化を丁寧にやってくるし、
原作と話はかなり違うにも関わらず村上春樹の小説の読書体験を通して得られる感覚と感動を映画の枠の中で体験できるし、凄い映画だと思う。

クライマックスでは胸をかき乱され、しっかり涙させられた。
その感動が読書体験で得られるものとも、舞台演劇で得られるものとも、映画館でのものともどこか近くて違っていて、なんだか泣きながら混乱するほどであった。原作を読んだ時は私が若かったからか、ここまでの気持ちにはならなかった。

村上春樹、スコット・フィッツジェラルドなどの文学作品が好きな方、
哲学的な映画が好きな方、ゴダールや押井守に共感する方なら多分イケる。
エンタメとして流行りの映画を楽しみたい方には退屈かもしれない。
美大生、芸大生は必ず観ておいて欲しい。音楽にはジム・オルークも参加しているしサントラは買うべき。 

明日は長雨、原作を読み返してみよう。
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