ぱねぇ

ドライブ・マイ・カーのぱねぇのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

舞台演出家の家福には、脚本家として知られる元女優の妻:音(おと)がいた。音のアイデア発想は一風変わっており、セックスの行為中あるいは行為後に、何かに取り憑かれたようにストーリーの大筋を語り出す。しかし彼女は、性行為の後に目覚めると、自ら語ったはずのアイデアをほとんど覚えていないのである。したがって夫である家福が、セックスの時に妻が口にした物語を記憶し、後日それを彼女に語る。というのが、売れっ子脚本家である音のアイデア発想であった。
互いに仕事に打ち込み、尊重し理解し合い、満ち足りたセックスをする。まさに、理想という言葉を具現化させたような夫婦だった。
しかし、ある日家福は、妻が自分以外の男に抱かれている事実を知ってしまう。
自分の何が気に食わなかったのか、彼女は何を求めていたのか、家福は妻を問い詰めることさえしなかったが、心のどこかで腑に落ちず、やるせない気持ちに見舞われていた。
「今晩帰ったら少し話せる?」
ある朝、なにか改まったような面持ちで音は家福に言った。
当然家福には心当たりがあったが、平然を装いそれを承諾した。
そしてその夜、家福はいつもとは違った心持ちで家に帰った。
妻の出迎えはなく、歩み進んだ先の真っ暗な部屋には倒れた音の姿だけがあった。

本作は、現在絶賛公開中の濱口竜介監督最新作で、また日本映画として初めてカンヌ国際映画祭にて脚本賞を受賞した超注目作である。

1ヶ月ほど前に映画館にて鑑賞したが、最近少し忙しかったためにマークできていなかった。

濱口竜介監督の作品としては「寝ても覚めても」のみ鑑賞済みで、それがあまりにも予想を上回る良作だったため、最新作である本作には多くの期待を持って映画館に出向いたわけだ。

んで、結論を言ってしまうと、度肝抜かれた。
濱口竜介ってこんなに凄い作家だったのか....。

音が語る物語。演劇。舞台。カセットテープ。「言語」と「それを超えた会話」。後悔。喪失。そして再生。

多くを語りたいが、まだまだ自分の中でも整理しきれていない。
この『ドライブ・マイ・カー』という映画は、これから自分の人生の中で、幾度となく見返すであろう最高傑作だ。
ぱねぇ

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