3時間があっという間だった。
起承転結がしっかりしていて、こちらへのメッセージもハッキリしているけど説明くさくなく、全てを必然だと感じさせる1ミリも無駄がないストーリー。それでいて人間味に溢れている。
濱口監督の映画に宿っている、何故か少し恐怖を感じさせる違和感の正体は何なんだろうと考える。
多分私にはその答えを導き出せないだろうが、他者の心の奥を少し垣間見て、「知ってしまった」と感じるあの責任感に似ている。
でもこの責任感は私の、はたまたあなたの、人生におけるもの。それでも濱口監督はそれを映画の中から差し出してくる。
とんでもない監督だと思う。
この映画を、これから自分の大切な人を失ったときに頼りにしたいと思った。
喪失感だったり、後悔だったり、そういうのって抱え続けなきゃいけない。
乗り越えることは一生できない。それで良いし、乗り越えたくない。
ずっと辛いまま、ずっと悲しいまま。それが良い。
でも私たちは誰かと寄り添って、また誰かに出会って、新しい感情を知ってゆく。新しい関係性を築いてゆく。
何も消えやしない。
岡田将生が演じた役にめちゃくちゃ共鳴してしまって苦しくなった。役の名前は忘れてしまった、なんだっけ。笑
でも、これほど私みたいな人間に出会ったことがないという感動は忘れがたい。
色んなことが手に取るようにわかる。あんな人がスクリーンの中でも、いてくれて嬉しい。
本当に大切な映画になった。人生通して何度も観ることになると思う。
