祝ゴールデングローブ非英語映画賞受賞!
ということで公開時に観れていなかったので遅まきながら鑑賞。
179分という長尺ながら、物語の行く末に想いを馳せて惹きつけられる作品。
脚本家の妻と劇演出家の夫婦。
2人の生活と会話からだんだんと2人の秘密がわかっていったところでタイトルが出る仕掛けに痺れた。彼の本編はここから始まるのだと予感させた。
劇中で演じられるチェーホフの『ワーニャ伯父さん』がそのまま物語とリンクして、そのセリフのどれもが重たく響くという構成が本当に素晴らしかった。正直チェーホフを見ても、その真髄まではわからないで見ていた部分が大きく、改めて恥じる思いだった。人々の悲劇とそこからの救済がなんと心に響く作品なのだろう。こうやって現代の作品に上手く引用される事によって改めて注目される事が素晴らしいことだと感じた。
印象的なシーンは車の中で高槻と会話するシーン、音とストーリーを語るシーン、瀬戸内の海を見ながら机に向かうシーン、などなど枚挙にいとまがない。海と車が印象的だった。また、多言語劇でさらに手話も含まれているが、この手話が非常に良かった。手話の持つ力、人へと伝える力を感じさせた。
喪失と後悔と再生。
人はもがき悲しみ後悔を抱えながらも生きていく。
その普遍的なメッセージが、チェーホフや人々の心情を通して描かれるのでスッと心に染み渡って行く。
人への眼差しが丁寧で優しい素晴らしい作品だった。
余談だが…
高槻役が元々東出くんだったのは非常に想像が容易いものの、岡田将生くんで良かった。