なゆた

ドライブ・マイ・カーのなゆたのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

まず今作を、評価されてから観る結果になってしまったのが悔しい。どうしてもアカデミーで評価されたという事実が作品を受け取る時のノイズになってしまう。頑張ってそれを抜きにして見たけど、今作はたとえ評価されなかったとしても名作だなと感じた。
主人公が演出家で、舞台を作る過程で起こる物語は個人的にものすごく親近感があって、一役者として考えることが多かった。セリフ自分のとこだけ開けて録音して、あとで棒読みではめるとかわかる。自分を変えるためにここにきた、て言葉、自分は今までそれくらいの心意気でやった作品があったのだろうか。稽古風景の描写も楽しかった。俳優間だけで起こったことを観客にも広げるとか。
手話が出てきたのも個人的に嬉しい。温かい言葉。ユンさんの自宅での晩ごはんシーンは1番好きなシーン。
テーマが、自分が劇団でやろうとしてたものに近いのも今作が僕にとって特別な理由かもしれない。どんなに長く一緒に過ごしてようが、結局人が何を考えてるかはわからない。今作は、その中でも他者との対話を説教くさく訴えるのではなくて、変化とか怖いよね、自分の理想と違うの怖いよね、でも一回、その怖さ抑えて対話してみようかという感じに、優しく背中を押してくれるような作品だった。
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