自分は村上作品の良い読者ではないしアカデミー賞にもそう関心がないのでまったく期待しないで観たが思いの外とても良かった。久しぶりにしみじみと良い映画を観た思いがした
原作は読んでいないが脚本が良くできていて俳優さんたちも皆適役であった。岡田将生が車中で故人を語るシーンや最後のチェーホフ劇のワーニャとソーニャの場面はとても美しかったし、気づくと映画後半はずっと涙していた
この作品、カンヌの受賞は当然に思えるけれど、人の内面性や人生を静かに描くこの映画がオスカーの有力候補にノミネートされたことに少し驚いたしとても喜ばしい事だと思った
中国人も韓国人も登場するこの脚本は眼差しが温かく、作品の視界を少し未来の方向へ拡げてくれる。さらにこの映画の中でチェーホフの普遍性を再認識もした