ハレルヤ

ドライブ・マイ・カーのハレルヤのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
妻を病で失った舞台俳優兼演出家の家福。突然の悲劇から2年後。演出家としての仕事で広島へ向かう。その仕事を通じての様々な人との交流で、自らの過去と向き合っていくヒューマンドラマ。

今年のアカデミーで最優秀外国語映画賞を見事受賞。メインの作品賞も受賞ならずともノミネートされる快挙を果たした本作。近年の邦画でも最重要レベルの注目作だったので見てみました。

確かにこれだけの高評価と受賞ラッシュなら、ハードルは自然と上がってしまいますが、あらすじを見ても派手さは無さそうだし、無駄に気負うこと無く鑑賞に入れました。

過去には肺炎で娘を。今度はくも膜下出血で妻を失った事で深い喪失感を抱える家福。そんな彼が仕事の都合で同行することになった専属ドライバーのみさき。妻と過去に仕事を共にしたことがあり、今回は俳優として家福と共に仕事をする高槻。韓国から来たスタッフのユンス。

彼らと時間を共有して抱えていた悩みやそれぞれの過去。本当の自分はどうしたかったのか。思いの丈をぶつけ合います。特に中盤の家福と高槻の車内での会話は本作のハイライトと言える名場面。高槻を演じた岡田将生の実力が発揮された場面だったと思います。

家福のドライバーを担ったみさきの存在もこの作品の注目ポイント。複雑な家庭に育ったものの、過去に母を助けれたはずなのに死なせてしまった事が心の重荷になっている。それは家福にも言えた事で2人の心情に共鳴するところがあったのは、見てて胸に迫るものがありました。

3時間という長尺でしたが、時間が経てば経つほど深みが増していく内容でこの時間も納得。手放しで名作!と言える感じではありませんが、個人的には間違いなく良作の域にあると思います。
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